ズシリ! 物価上昇 資産価値の目減り「心配」で投資意欲高まる
4月、モノやサービスの値上げが相次ぎ、物価の上昇をひしひしと感じるなか、資産価値の目減りを防ぐ対策として投資意欲が高まっていることがわかった。
東京海上アセットマネジメントが、投資信託を保有している20歳以上の人(1200人)を対象に、「インフレ実感と投資行動に関する調査2024」を実施。3月28日に発表した。
この調査は、昨年に続き2回目。物価が1年前と比べて「上がった」という人は93%にのぼり、前年を6ポイント上回った。また、インフレの見通しを聞くと、「今後6か月超続く」と予測する答えが87%にのぼり、インフレの常態化を予測する人が増えた。
目次
インフレの実感 1年前と比べて「かなり上がった」
調査によると、「あなた自身の実感として、物価は1年前と比べてどう変わりましたか」(n=1200)との問いに、 「かなり上がった」と答えた人は56%と最も多かった。次いで「少し上がった」が37%で、合計で93%の人が「物価が上がった」と答えた。前年(2023年調査)から6ポイントの上昇で、インフレの実感が強まっていることがわかる。【図1参照】
また、「あなた自身は、インフレが今後どのくらい続くと思いますか」(n=1200)と聞いたところ、「長く続く(3年超)」と答えた人は37%、「しばらく続く(6か月超〜3年以内)」との回答は49%で、合計で87%の人が「今後6か月超続く」と予測していることがわかった。
2023年と比べて、合計はほぼ変わらないものの、「長く続く(3年超)」と答えた人は9ポイント増えた。【図2参照】
一方、「インフレが資産形成に与える影響」(n=1200)を聞いたところ、インフレが資産価値を目減りさせることを「とても心配している」人は33%、「やや心配している」と答えた人は46%で、合計で78%の人が「心配している」と答えた。前年比では、6ポイント減った。【図3参照】
さらに、「あなたは、インフレから資産を守る対策をとっていますか」(n=1200)の問いに、「対策をとる必要は感じているが、対策はとっていない」と答えた人が51%で最も多かった。
一方、「対策をとっている」と答えた人は38%で、前年から約1.5倍(13ポイント増)になった。投資を通じて、資産価値を守る対策をとる人が増えた。
「対策をとる必要性を感じていない」は11%だった。
キャプション 図4 インフレから資産を守る対策をとっている人、前年より約1.5倍増えた(東京海上アセットマネジメント調べ)
インフレから資産を守る! 7割の人が「対策のやり方がわからない」
調査では、インフレから資産を守る対策をとっている人を対象に、「保有資産の実質的な価値の目減り避けるために、投資(資産運用)する金額を増やしたいと思いますか」と聞いたところ、「増やしたい」と答えた人が72%にのぼり、最多だった。「(金額は)変えるつもりはない」が25%、「減らしたい」と「わからない」と答えた人はそれぞれ1%だった。
多くの人が「投資(資産運用)の金額を増やしたい」と答えていることから、東京海上アセットマネジメントは「インフレの影響によって資産価値が目減りすることへの対策を目指した投資意欲の高まりが示唆される」とみている。
その一方で、「対策をとる必要は感じているが対策はとっていない」と答えた人に、「インフレから資産を守る対策をとっていない」理由を聞いたところ、「どのような対策が必要かわからない」と答えた人が最も多く、69%にのぼった。
「どのような対策が必要かわかっているが行動に移していない」と答えた人は28%だった。【図5参照】
前年と傾向は変わっておらず、知識不足のために不安に感じながらも対策に移せていない個人投資家が引き続き多くいることがうかがえる。
キャプション 図5 「どのような対策が必要かわからない」と答えた人は約7割にのぼる(東京海上アセットマネジメント調べ)
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」それぞれ違う商品を買う人は36%
調査では、投資信託や新NISA(少額投資非課税制度)についても聞いた。それよると、「投資信託を購入する際に重視する項目を教えてください」(n=1200、3つまで複数回答)との問いに、「コスト(販売手数料や信託報酬など)」と答えた人が最も多く、60%にのぼった。次いで「リターン」の39%、「リスク(標準偏差)」が31%、「基準価額の推移」が30%で続いた。【図6参照】
投資信託を保有する目的を聞く(n=1200)と、「老後に備えた資産形成のため」と答えた人が71%で最多。「値上がり益を得たいため」と答えた人(51%)を上回った。
「少し先(教育資金・住宅資金など)の資産をつくるため」が22%、「勧められたため/周りの人がやっているため」という人も10%いた。「その他」は1%。
さらに、「投資を継続するうえで、自身が投資資産について、どの程度の下落幅まで許容できますか」と聞いたところ、「マイナス10%まで下落を許容できる」と答えた人が50%を占めて、最多だった。次いで「マイナス30%まで下落を許容できる」の28%だった。
投資元本の半分以下になることを意味する「マイナス50%超下落しても許容できる」という人は、わずか5%。東京海上アセットマネジメントは、「老後に備えた資産形成が強く意識されるなか、リスク許容度に合わせた投資が求められる」としている。【図7参照】
また、「新NISAの『つみたて投資枠』と『成長投資枠』を、それぞれどのように活用しますか」(n=1200)との問いに、「『つみたて投資枠』と『成長投資枠』でそれぞれ違う商品を購入する」と答えた人が36%で最も多かった。「『つみたて投資枠』と『成長投資枠』ともに同じ商品を購入する」という人は11%だった。「幅広い商品に投資できる成長投資枠を利用したいニーズが確認できた」(東京海上アセットマネジメント)。
また、「NISAを利用するが、ファンドから選ぶのでどちらの枠かはこだわっていない」と答えた人が15%、「つみたて投資枠のみ利用する」人は14%だった。
「NISAを利用しない」はわずか9%。NISAの普及度の高さがうかがえた。【図8参照】
なお、調査は全国の投資信託を保有している20歳以上の男女を対象に、2024年2月17日~18日にインターネットで実施した。サンプル数は1200(20代~60代の各年代・男女別と70歳以上の女性、各100人を均等割した)。