「円安・円高」を知る 為替の基本の「キ」を学ぼう①
毎日の経済ニュースで、株価(日経平均株価とTOPIX、米NYダウ30種平均)とともに相場の動きを報じているのが、「為替」です。その多くの場合に、米ドルと日本円が用いられていますが、他にもユーロと円、米ドルとユーロ、英ポンドと円、米ドルと中国元など、いろいろな通貨の組み合わせがあります。
そもそも、「為替」とはお金を決済するときに使う手形や小切手などの総称(内国為替)をいいます。しかし、ニュースで報じている「為替」とは、「外国為替」を指しています。外国為替には「異なる国の通貨を取り換える」という意味があるのです。
例えば、日本企業の中には遠く外国から材料を仕入れ(輸入)、国内で生産して輸出して、外国で販売しています。もちろん、その逆のケースもあります。そういった場合のお金のやり取りは、両国間の為替レートに基づいて取引されています。つまり、企業の業績と外国為替は密接に関係しているわけです。
そんな外国為替の入門編。基本の「キ」を学んでいきましょう!
さて、本題です。まずは、基本の用語となる「円高・円安」を学びます。意味や要因を押さえておきましょう。
目次
円高とは? 円安とは??
「円高・円安」とは、日本円が他国の通貨に対して価値が変動することを指します。ここでは、特によく比較される米ドルに対してどう変わるかに焦点を当てて説明します。
円高とは?
円高とは、円の価値が他国の通貨に対して上がることを意味します。
例えば、以前は1ドル=100円だった相場が、1ドル=90円になった場合、円高が進んだと言います。これは、同じ1ドルでより少ない円で購入できるようになった、つまり円の価値が強くなったことを示します。
円高の影響
円高になることで、恩恵を受ける事象と損する事象の例をご紹介します。
輸入製品がお得になる
円高の時は、輸入品の価格が下がるため、消費者にとってメリットがあります。また、海外旅行が安くなるため、旅行者にとっては好条件です。海外で購入する商品が安くもなります。
輸出企業にとってはマイナス
円高では、日本からの商品やサービスが海外で買う際に高くなり、海外の人にとっては魅力が減少します。その結果、日本の輸出が減り、輸出企業の収益が下がる可能性があります。
円安とは?
円安は、円の価値が他国の通貨に対して下がることを意味します。
例えば、1ドル=100円から1ドル=110円に変動した場合、円安が進んだと言います。1ドルを手に入れるためにより多くの円が必要になり、円の価値が弱くなったことを示します。
円安の影響
円安になることで、恩恵を受ける事象と損する事象の例をご紹介します。
輸出企業にとってはプラス
円安の時、日本の商品やサービスは外国で安くなります。その結果、輸出が増え、輸出企業の収益向上につながります。
輸入品が割高に
円安では、外国の商品を円で買う際に高くなります。つまり、輸入品の価格が上がり、生活費が増加する可能性があります。また、円安は海外での支出が増えるため、海外旅行者にとっては不利な条件となります。
まとめ
円高と円安は、経済のバランスをとるために重要な現象です。円高は輸入品の価格を下げ、消費者に利益をもたらしますが、輸出企業には不利です。
一方で円安は輸出企業に利益をもたらし、国の経済活動を活性化させますが、輸入品のコスト増や海外旅行の高騰といったデメリットもあります。
それでは、「ドル円相場はいくらが適切なのか?」といった疑問が湧いてきますが、一般にその答えは「出ていない」とされています。
それでも、2000年以降の経済状況では、おおむね1ドルが100~120円程度が好ましいという意見が多いようです。
参考動画:円高円安とは何かを元銀行マンがわかりやすく解説(出典:CXRエンジニアリング)
為替のおさらいクイズ
プロフィール
児山 将(こやま・しょう)
2009年からFXトレードを開始。強制ロスカットを10数回ほど遭遇しながら、2013年に収益が安定。金融メディアで、FXのWEBサイトの運営や記事制作、個人投資家への取材などを担当。ファンダメンタルズ分析の知見を養う。
2018年に投資家兼フリーランスとして独立。日本株、米国株、仮想通貨、商品など多数の金融商品を取引。YouTubeでは、ファンダメンタルズ分析と需給、イベント、統計データなどを発信中。