【塚本俊太郎の金育 第6回】新NISAを知る!

2024年1月からNISA(少額投資非課税制度)が大幅に拡充されることになりました。このことが私たちにどのような影響をもたらすのか、新NISAの内容、オススメの活用法について、私の考えをお伝えしたいと思います。

 

投資を考え始めたらNISAを活用しない手はない

新NISAの導入によって、投資をするすべての人が最初に活用するのがNISAになると言えるでしょう。通常は特定口座や一般口座で投資をすると、利益に約20%の税金がかかりますが、NISAは利益に税金がかかりません。

このメリットはとても大きいので、投資を考え始めたらNISAを利用しない手はありません。これから投資を始める人もNISAを活用すべきですし、すでに投資を積極的にしているという人もNISAを活用するでしょう。

利益が非課税になる投資上限額は、1月から生涯で1800万円になりました。1800万円以上を投資に充てることができる人は、それほど多くないと思うので、投資がNISAで完結する人が多くなるのではないでしょうか。NISA制度はどんな内容なのか、そしてNISAをどう活用するのかが、みなさんに必須の知識になってくると思います。

 

これまでもNISAの制度はありましたが、1月スタートの新NISAはこれまでとどのように異なるのか、おさらいしたいと思います。

ポイントは4つあります。

まず一つ目は、制度が“恒久化”されたということです。今までのNISAは、投資ができる期間が決まっていました。いつか終了する制度だったので、投資に詳しい人は活用するかもしれませんが、自分には関係がないと思っていた人も多いかもしれません。今回の新NISAでは、未来永劫ずうっと続く制度になったことで、活用するかしないかはその人の自由ですが、誰もが内容を知っておくべき重要な制度になりました。
二つ目は、非課税期間が無制限になった点です。今まで一般NISAでは5年、つみたてNISAは20年が非課税期間でした。そのため、非課税期間が終わるタイミングや、その前に売ることを考えなければいけませんでした。どのタイミングで売るかが悩みのタネだったのです。しかし、非課税期間が無期限になったことで、20年でも30年でも可能な限りずっと投資を続けることができるようになりました。自分のライフスタイルに合わせて、資金が必要になるタイミングで売却すればいいのです。売却のタイミングを自分で決めていくという形に変わったのが大きな違いです。

 

もう迷わず投資が始められる!!

三つ目のポイントですが、これまではつみたてNISAと一般NISAの併用ができず、どちらかを選ばなければいけませんでした。迷う人も多く、結局決められずに始められないという人も多かったのではないでしょうか。ですが、新NISAではつみたてNISAを引き継ぐ「つみたて投資枠」と一般NISAを引き継ぐ「成長投資枠」が併用できるようになりました。                                                                                                                            これにより、一つの口座で両方とも使えるようになり、「つみたて」にするか、「一般」にするか、迷うことがなくなったと思います。

四つ目は、投資の年間上限額がつみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円、合わせて360万円と大幅に引き上げられたことです。これまでは、年間投資上限額が、つみたてNISAで40万円、一般NISAで120万円でした。また、生涯で使える非課税枠の上限が1800万円(成長投資枠はそのうちの1200万円までしか使えません)まで使えるようになりました。これまでのつみたてNISAでは40万円×20年=800万円まで、一般NISAでは120万円×5年=600万円までだったので、より多くの資金を投入できるように変わったのです。

 

追加でもう一つ、ポイントがあります。初心者向けではないかもしれませんが、今まではつみたてNISAは「買ったら20年間持ち続けてください」、一般NISAなら「買って5年間持ち続けるといいですよ」とオススメしていたのですが、新NISAは、途中で売却をした場合は、売却分の購入金額が、翌年に生涯の非課税枠として復活します。

つまり、10万円で購入した商品が、運用によって12万円になった時点で売却すると、翌年に購入金額分の10万円がまた投資可能になるのです。

例えば、教育資金を運用したいと思ってNISAで積み立てるとします。子どもが大学に入るときに、その時に必要な教育資金分だけ売却すると、購入金額分の非課税枠が翌年に復活します。教育資金がかからなくなり、投資ができる資金が増えた場合は、今度は老後資金として積み立て金額を増やすといった使い方もできるのです。

そんなふうに活用することもできるので、NISA制度の自由度が高まったと言えますね。

 

今回は新NISAの制度の内容について見てきました。次回は、新NISAのオススメの活用法、金融機関や投資信託の選び方について説明したいと思います。

(塚本俊太郎)

 

プロフィール

金融教育家 塚本俊太郎ホームページ
1994年、慶應義塾大学総合政策学部を卒業。97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論を卒業。20年以上、外資系運用会社で勤務したのち、金融庁の金融教育担当として高校家庭科の金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在は金融教育家として、金融リテラシーや資産形成について講演活動などを行っている。
2023年3月期 Eテレ「趣味どきっ! 今日から楽しむ“金育”」講師。
YouTube「塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル」
日本金融教育推進協会理事。グリーンモンスター株式会社顧問。日本CFA協会執行理事。NewsPicks ProPicker。

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