【塚本俊太郎の金育 第7回】新NISAの”オススメ活用術”

前回(【第6回】新NISAを知る )は、新NISAの概要についてみてきました。今回は、新NISAのオススメの活用法。どのように金融機関や投資信託を選ぶとよいのか――。選ぶ際のポイントついて、お伝えしたいと思います。

まず「つみたて投資枠」から使ってみよう

新NISAで「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用できるようになったことは前回お伝えしました。この二つを、どのように利用したらいいのか――。それは、まず「つみたて投資枠」から利用するのがいいと思っています。

つみたて投資枠は、これまでの「つみたてNISA」を引き継いでおり、これを利用することで投資の基本となる「長期・積立・分散」投資を学べます。投資対象が、「長期・積立・分散」投資に合った投資信託に限定されているので、投資を始める際には失敗しにくい制度だと思います。

つみたて投資枠で、年間で投資できる上限は120万円で、1か月になおすと10万円です。月10万円を投資するのは結構大変だと思うので、多くの人はこの金額内に収まるでしょう。まず、つみたて投資枠から利用して、それ以上投資できる資金があるなら、「成長投資枠」を活用すると良いと思います。

成長投資枠でも、つみたて投資枠と同じ商品を買えるので、同じ商品を購入することをオススメします。よく聞くケースは、今50代、60代の方で、若い20代、30代の方と比べると投資期間が長くはとれないけれど、手元に資金はあるという場合です。あと20年くらいは投資できるので、つみたて枠に加えて、成長投資枠も活用しながら投資の金額を最初から増やしていくというやり方もあります。

 

次に、金融機関の選び方ですが、金融機関には大きく分けると、店舗を持っている金融機関とインターネットの金融機関の二つあります。店舗がある金融機関の特徴としては、投資信託のラインナップが最初から絞り込まれています。対面で手続できるので、わからないことがあれば、その場で聞いて、つみたて設定をしていくことができます。どうしても相談したい場合は、店舗型の金融機関に行くのも良いでしょう。ただ、手数料の高いアクティブ型投資信託や貯蓄性保険を紹介されることもあるので、その点は注意が必要ですね。

一方で店舗をもたないインターネットの金融機関は、スマートフォンやパソコンで基本的に手続きをするので、空いた時間で手続きができるほか、商品の投資信託のラインナップが豊富な機関が多いのが特徴です。投資信託のラインナップが多いと、信託報酬(手数料)が安い商品も含まれているので、その点がメリットだと思います。複数のネット証券で迷われている場合は、自分が投資したい投資信託の取り扱いがあるか、ホームページが使いやすいかで選んでみてはどうでしょうか。ネット証券大手であれば、どれもサービスレベルが向上してきていますので、大きな違いはないでしょう。

 

どの投資信託を選べばよいか?

数ある投資信託の中からどのように商品を選んだら良いかで迷われる方も多いと思います。2023年末までのつみたてNISAで人気があったカテゴリーが、「全世界株式」「全米株式」「S&P500」の3つです。この3つのリターンの大きさはその時代で変わってくるのですが、リターンの方向性はだいたい同じなので、新NISAではどれを選んでも良いでしょう。

「S&P500」は、アメリカのトップ500社に分散投資するカテゴリーで、定期的に入れ替えられる点が人気です。「全米株式」はアメリカの大型・中型・小型に分散投資をするタイプで、これから伸びるような規模の小さい会社も含まれています。「全世界株式」はアメリカのみならず全世界の先進国や新興国を含めて投資をするものです。歴史を振り返ると、その時々で世界経済をけん引する国や企業が変わっています。それが全部入っているのが「全世界株式」のメリットですね。

全世界株式の中身をみると、60%はアメリカの株式で構成されているので、S&P500や全米株式が大きく上がると、全世界株式も基本的には上がります。どれを選ぶか、好みで決めてもらってもいいのですが、私個人の考えとしては、20年という長期で考えるのであれば、時代の変化についていける「全世界株式」がいいと思います。

 

まず、どのカテゴリーかを選んだうえで、次に信託報酬と純資産総額で選んでいくことをオススメします。信託報酬は、投資信託を保有している期間にかかる運用手数料で、ずうっとかかり続けるものですので、なるべく低いほうがいいですね。私は一つの基準として、0.3%以下を信託報酬の目安にしています。

純資産総額(投資信託の大きさ)の目安としては100億円以上のものを選ぶことをオススメします。なぜかというと、投資信託はある程度の規模がないと、途中で運用をやめて償還されることが起こりうるからです。途中で運用が終わってしまうと、預けている側としては、急に資金が返還されて困りますよね。なるべく投資が長く継続していくような投資信託を選んだほうがいいので、その目安として純資産総額は100億円以上とお伝えしています。

信託報酬と純資産総額でまず足切りをして、その後は信託報酬が一番安いものを選ぶといいでしょう。

 

最近の2~3か月間で、投資信託の手数料の引き下げ合戦が進んでいます。信託報酬が最安値の投資信託も新たに出てきています。そういう場合でもスタートしたばかりだと純資産総額が小さいので、いきなり飛びつくことはやめて、1年ぐらい様子を見てください。人気がでて純資産総額が大きくなってから検討を始めればいいと思います。

次回は、個人型確定拠出年金「 iDeCo」について、みてみましょう。

(塚本俊太郎)

 

プロフィール

金融教育家 塚本俊太郎ホームページ
1994年、慶應義塾大学総合政策学部を卒業。97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論を卒業。20年以上、外資系運用会社で勤務したのち、金融庁の金融教育担当として高校家庭科の金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在は金融教育家として、金融リテラシーや資産形成について講演活動などを行っている。
2023年3月期 Eテレ「趣味どきっ! 今日から楽しむ“金育”」講師。
YouTube「塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル」
日本金融教育推進協会理事。グリーンモンスター株式会社顧問。日本CFA協会執行理事。NewsPicks ProPicker。

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