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初代王者にドイツ「TU Investment Club」 日本勢は2位に早大、3位が慶大 学生投資サークル主催の「国際投資大会」

2024年9月からドナルド・トランプ前米大統領が再選した、米大統領選挙までの約2か月間にわたって米国株の運用を競ってきた、学生投資家による国際投資オリンピック「WORLD INVESTMENT COMPETITION 2024」(国際投資大会)は、ドイツのTU München「TU Investment Club」の優勝で幕を閉じました。第2位に日本の早稲田大学の「株式投資サークルForward」、第3位に慶応義塾大学の「Keio Stock Research Society」が輝き、個人では早稲田大学の惠良祐太さんが優勝を飾りました。

2024年11月25日、早稲田大学 大隈記念講堂で閉会式が開かれました。

世界9か国の学生投資家が参加! 日本初の国際投資大会(早稲田大学 大隈記念講堂で受賞者らが記念撮影。後方のモニターが優勝したドイツのTU München「TU Investment Club」)

世界9か国の学生投資家が参加! 日本初の国際投資大会(早稲田大学 大隈記念講堂で受賞者らが記念撮影。後方のモニターが優勝したドイツのTU München「TU Investment Club」)

約2か月間にわたる米国株運用の真剣勝負!

「WORLD INVESTMENT COMPETITION 2024」は2024年9月23日から11月22日までの約2か月間、総額約40億円の米国株(普通株式に限る)をオンラインでデモ運用した日本初の国際投資オリンピック。国境を超えた学生投資家のコミュニティの形成と、日本の投資に対する怪しい印象の払拭による金融リテラシーの向上を目的に、早稲田大学の株式投資サークルForwardが主催。世界中の学生投資家がパフォーマンスを競いました。

早稲田大学の株式投資サークルForwardの代表で、大会責任者の惠良祐太さんは、

本大会は「誰もが挑戦できる、未来のスタンダードとなる投資大会」というコンセプトのもと、投資に興味を持つ若者たちが勉強の成果を発揮する目標となるような大会を、国際基準で作りたいという想いから企画いたしました

と話しています。

大会には、これに賛同した世界9か国12大学が参加。

  • アメリカ         Yale University【SOM Investment Management Club】
  • 英国           University of Exeter【Business and Finance Society】
  • ドイツ          TU München【TU Investment Club】
  • RWTH               【Aachen University Aachen Investment Club】
  • イタリア         Bocconi University【Department of Economics】
  • インド          Indian Institute of Technology【Roorkee Finance Club IIT Roorkee】
  • Birla Institute of Technology & Science (BITS)【Pilani Finomaniac】
  • シンガポール       Singapore Management University【EYE Investment Club】
  • フランス         TBS Education【Department of Economics and Finance】
  • ニュージーランド  University of Auckland【UoA Investment Club】
  • 日本        慶応義塾大学 【Keio Stock Research Society】,早稲田大学【Forward】

——の面々がそろいました。

早稲田大学のForwardに所属し、大会共同責任者である下林大倭さんは、

学生主催の国際投資大会という世界初の試みであるにもかかわらず、アメリカのイェール大学やドイツのミュンヘン工科大学をはじめとして、世界9か国12大学に及ぶ一流の投資コミュニティが参戦してくれたことを大変うれしく思います。日本では、投資コミュニティは依然としてニッチな領域と見なされがちですが、本大会をきっかけに日本の若者が新たな刺激を受け、コミュニティ全体がさらに活性化していくことを期待しています

と展望を話しました。

ルールは、各大学チームから選抜された代表者3人が、1人あたり10万ドルのデモ資金を運用。大会期間終了後の金額の合計で、収支パフォーマンスを競いました(TradingView.inc社提供のPaper Tradingを競技に使用)。

 

米大統領選も利用しながらの銘柄選びに「感服」

2024年11月25日には早稲田大学 大隈記念講堂で、ゲストにアセンダント取締役で為替情報配信やセミナー講師の山中康司氏を迎え、大会の表彰と閉会式を開きました。(海外参加者はZoomでオンライン参加)。

山中氏は、

今回のコンテストは期間中に米大統領選もあり、戦略を立てることが難しい時期だと思っていましたが、そうしたイベントもうまく利用しながらの銘柄選びには感服しました。また、早稲田大学の投資サークルの主催でこのような投資への取り組みが行われていることは日本の未来も明るくなりそうだと思わせてくれる良いニュースでした。わたしにとっては今年一番うれしいニュースの一つです

と話し、参加した学生投資家を称えました。

総合優勝はドイツのTU München「TU Investment Club」で、賞品として豪華トロフィーと優勝楯、約10万円分の日本製菓、TradingView.Inc 約30万円分有料アカウントを獲得しました

総合優勝はドイツのTU München「TU Investment Club」で、賞品として豪華トロフィーと優勝楯、約10万円分の日本製菓、TradingView.Inc 約30万円分有料アカウントを獲得しました

第2位は早稲田大学の学生投資サークル「Forward」。賞品は表彰楯とAmazonギフト券1万円分、TradingView.Inc 約20万円有料アカウント(写真右は、山中康司氏)

第2位は早稲田大学の学生投資サークル「Forward」。賞品は表彰楯とAmazonギフト券1万円分、TradingView.Inc 約20万円有料アカウント(写真右は、山中康司氏)

第3位は慶応義塾大学の「Keio Stock Research Society」で、表彰楯と賞品TradingView.Inc 約10万円分の有料アカウントを獲得しました(写真右は、山中康司氏)

第3位は慶応義塾大学の「Keio Stock Research Society」で、表彰楯と賞品TradingView.Inc 約10万円分の有料アカウントを獲得しました(写真右は、山中康司氏)

個人優勝は早稲田大学Forwardの恵良祐太さんが輝き、往復航空券(上限13万円)を。また、マネックス賞には早稲田大学Forwardが提出したレポートがtrading viewのアナリスト2人とスタンフォード大学研究員(Oxford Club Japanチーフ・ストラテジスト)の志村暢彦氏により評価され、Apple Watch Series 9 (1 unit)が授与されました。 

志村氏はレポートについて、

パフォーマンスだけでなく投資戦略も評価するルールを設定したのは素晴らしいこと。そしてこの論文は、業界の動向、競争力のあるポジショニング、および企業収益の包括的な分析を提供しており、参入と撤退の決定の背後にある理論的根拠についても明確に説明していた。一貫した投資リターンを達成するためのレジリエンス強化への有意義な貢献と評価した

と述べています(コメントは編集部で日本語訳)。

スタンフォード大学研究員の志村暢彦氏(閉会式での総評のもよう)

スタンフォード大学研究員の志村暢彦氏(閉会式での総評のもよう)

早稲田大学の投資レポート

早稲田大学の投資レポート

インドの投資レポート

インドの投資レポート

上位3か国の投資成績推移 (2024.10.13~24.11.22)

上位3か国の投資成績推移 (2024.10.13~24.11.22)

見事に総合優勝を果たしたのはドイツの「ミュンヘン工科大学チーム」。大会終了後、彼らの素晴らしい投資運用パフォーマンスの秘訣に迫るべくインタビューを実施しました。

 

―― 投資運用プロセスにおいてうまくいった点を教えてください。

私たちにとって最も重要だったのは、競技会の2か月という運用期間に適した戦略を立案することでした。伝統的な投資の知見と、高い確信度を伴う戦術的なトレードの要素を組み合わせることを決めました。ジョージ・ソロスのような伝説的な資産配分のプロに着想を得て、私たちは高いリターンが期待できる限られた機会に集中投資しました。第3四半期の決算発表シーズンとマクロ経済の状況を組み合わせて活用し、2か月という短期の競技会に特化した戦略を実行したのです

―― 投資の意思決定に際して、どのようなアプローチを取り、どのような点を重視しましたか。

私たちの投資判断のアプローチと、そこに至る主な決定ポイントについてですが、まずは過去の決算修正と株価の大きな変動の間に強い相関が見られる企業を検討しました。具体的には、AIを活用したイノベーションや消費者行動の変化など、急速な変化に直面している業種や重要な局面を迎えているセクターの企業を優先的に選んでいます。こうした大きなトレンドに合わせて銘柄を選ぶことで、決算のサプライズや将来見通しの更新による株価の急変動(price dislocations)に、より効果的にエクスポージャーを得られると考えました。同時に、マクロ経済要因も幅広く検討し、より精緻な資産選択を行っています。大統領選挙などの政治的変動はマーケットのセンチメントに大きく影響し得ますし、AI技術の進展や金利引き下げによる投資家のリスク選好の高まりなどを背景としたテクノロジーセクターの強靭性も重要な考慮事項でした

―― 投資コンテストを振り返って感想をお願いします。

World Investment Competition 2024は本当に素晴らしい体験でした! なかでも強く印象に残ったのは、大会が非常にプロフェッショナルに運営されていた点です。開始から終了まで、大会運営チームがコンペティションをどれほど大切に扱っているかを随所で感じることができました。私たちは他チームの紹介を受けたり、定期的にパフォーマンスの速報をもらったりと、運営のきめ細やかさに感銘を受けましたし、とても印象的な表彰式にも参加することができました。TU Investment Clubのメンバーと優勝の喜びを分かち合えること、そしてこのように素晴らしい大会を企画・運営してくださった早稲田大学の運営チームに心から感謝しています

(コメントは編集部で日本語訳)

なお大会は、世界で最も利用者数が多い投資ツールを提供するTradingView, Inc.をはじめ、マネックス証券やイベントス、Investlingo Japan 、カブライブ!、moomoo証券、konowa、が後援しました。

閉会式では、後援企業の1社としてカブライブ!が紹介されました

閉会式では、後援企業の1社としてカブライブ!が紹介されました

早稲田大学 大熊記念講堂

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早稲田大学株式投資サークルForward 大会運営メンバー

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