ESG投資は増加傾向、5年後に運用資産全体の「90%以上」になると答えた機関投資家は半数に迫る

Environment(環境)、Sacial(社会)に配慮して事業を展開して、適切なGovennance(企業統治)がなされている企業に投資する「ESG投資」が注目を集めている。

日本経済新聞社グループの金融情報サービスのQUICK(東京都中央区) ESG研究所によると、運用資産全体に占めるESG投資が「90%以上」になると答えた機関投資家の割合は、現在の33%から5年後には46%に高まり、ESG投資が一段と重要性を増す傾向があることがわかった。

また、2023年3月期から義務付けられた有価証券報告書のサステナビリティ情報は、85%の機関投資家が「活用している」と答えた。

 

ESG投資が「90%以上」の機関投資家、現状二極化

近年、注目度が増している「ESG投資」は、地球環境の保護や生物多様性の確保、労働・働き方や地域社会への貢献、人権問題といった社会が抱えている課題を解決していく企業が、サステナビリティ(持続可能性)があり、将来的な成長が見込めるとの考え方に基づいている。これは世界的な傾向で、年金積立金管理運用独立法人(GPIF)や銀行・保険会社、投資信託などの機関投資家が、こうした企業への投資を強めている。

QUICK ESG研究所の調査によると、運用資産全体に占めるESG投資の割合は現在、“二極化”している。34%の機関投資家が「10%未満」と回答した一方、33%の機関投資家が「90%以上」と答えた。

しかし、5年後の計画を聞くと、「10%未満」と答えた機関投資家は24%に低下した一方で、「90%以上」と答えた機関投資家は46%に上昇する。こうしたことから、ESG投資は増加傾向にあるといえそうだ。

ESG投資の割合を引き上げる理由を聞くと、「経営トップによるコミットメント」が50%と最多。投資による「リターンの獲得」は29%にとどまった。

 

また、2023年3月期から有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載欄が新設され「人的資本、多様性」に関する開示が始まったが、調査で機関投資家に情報の活用状況を聞いたところ、85%が「活用している」と答えたことがわかった。

活用方法は「対話(エンゲージメント)を実施する際の資料」が77%で最も多くなり、「投資対象企業を選別する際の社内評価指標」の40%を大きく上回った。

さらに、今回初めて機関投資家の「対話(エンゲージメント)」実施状況を調べたところ、投資先企業数は「環境(E)」「社会(S)」「ガバナンス(G)」のいずれの課題でも、最も多かった答えは「50社以上100社未満」だった。

「対話(エンゲージメント)」の上位のテーマをみると、「気候変動」「ダイバーシティ&インクルージョン」「人権」が占めた。これは過去2年の調査結果と同じ。ただ、今回は「労働慣行(健康と安全)」が41%と、2022年調査の31%から大きく上昇した。

ESG投資の手法別状況をみると、ESG要因を投資の分析や決定に組み込む「ESGインテグレーション」と呼ばれる手法が全体の90%を占めて、最も多かった。次いで、企業にESG活動を働きかける「対話(エンゲージメント)」が84%、株主総会での「議決権行使」が76%と続いた。

「ESGインテグレーション」で組み込む要因は「スコープ1(企業などが直接排出した温室効果ガス)、スコープ2(間接的に排出した温室効果ガス)、スコープ3(バリューチェーン全体から排出した温室効果ガス)の温室効果ガス排出量の内訳と総量」が65%で最も多かった。こちらは2021年の調査から変化はない。

 

なお、調査は日本国内に拠点を置く265の機関投資家(「日本版スチュワードシップ・コード」の受け入れ表明機関、もしくは責任投資原則(PRI)署名機関から抽出)を対象に、毎年実施している。「ESG投資実態調査2023」は、23年8月21日~10月10日に実施。回答組織数は73(うち、アセットマネジャーが46、アセットオーナーが27)だった。2024年1月30日に発表した。

 

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