【第4回】米国と日本 株式市場はなにが違う いきなり米国株投資って大丈夫?

今回は、米国株式がどのように取引されているのかを具体的に説明していきます。
また、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQ(ナスダック)では、東京証券取引所(東証)と取引方法が違う点も多くありますので、東証との違いも説明します。

米国株は「1株」から買える!

まずは、下の表をご覧ください。NYSE、NASDAQの米国市場と東証の取引形態の概要です。

取引期間売買単位値幅制限銘柄レコード
米国市場
  • 標準時間9:30~16:00
  • (日本時間では23:30~翌6:00)
  • 夏時間(日本時間では22:30~翌5:00
1株サーキットブレーカー制度ティッカー(アルファベット)
日本市場
  • 前場9:00~11:30
  • 後場12:30〜15:00
単元株(100株)ストップ高、ストップ安数字

米国市場の場合、取引時間は冬時間となる標準時間では、午前9時30分から午後4時までとなります。ただし、米国では3月第2日曜日から11月第1日曜日までの8か月間が夏時間となり、時間が1時間早まるので、日本時間にすると、標準時間は午後11時30分から翌午前6時ですが、夏時間には午後10時30分から翌午前5時となります。

東証では前場と後場に分かれ、昼休みが1時間ありますが、米国市場では昼休みはなく、取引時間中は継続して取引が行われています。

さらに、米国市場では取引時間(立会時間)の前後にも時間外取引が行われています。取引時間前の午前8時から午前9時をプレ・マーケット、取引時間の午後4時から午後8時をアフター・マーケットと呼び、時間外取引が行われています。

米国株の売買単位は1株です。米国は日本のように100株を1単元とする単元株制度がないため、1株から売買が可能で、少額からでも取引ができます。

 

日本の株式市場では、業種を基準として各銘柄に割り当てられた数字が銘柄コードとして用いられていますが、米国市場ではティッカーという各企業名を基準としたアルファベットが銘柄コードとして用いられているため、銘柄コードが覚えやすいのも特徴です。

このように、個人の株式取引が活発に行われている米国市場では、取引時間中は昼休みがなく、時間外取引も行うとことができ、売買単位が1株で、銘柄コードも企業名に馴染みのあるものとなっています

 

米国株は年4回、配当金が支払われる!

東証には、急激な値動きを抑え、リスクを軽減する目的で、1日の値動きの幅が前営業日の終値などの基準値から一定の範囲に収まるように、個別銘柄ごとにストップ高・ストップ安という「値幅制限」がありますが、米国の株式市場に値幅制限はありません。

ただし、米国市場では、市場が大きく動いたとき一定時間の取引を停止する制度として、市場全体が止まる「サーキットブレーカー制度」があります。

サーキットブレーカー制度は、

(1)午前9時30分から午後3時25分の間にS&P500が前日終値より7%下落した場合、15分間取引を停止

(2)午前9時30分から午後3時25分の間にS&P500が前日終値より13%下落した場合、15分間取引を停止

(3)S&P500が前日終値より20%下落した場合には、その日は取引を停止

という条件で発動されます。

 

また、米国企業では四半期決算ごとに株主配当を実施している企業が多いため、年4回の配当金が支払われます。この配当金は課税対象になりますので、確定申告で「外国税額控除」を行うことをお勧めします。

さて、米国の株式市場の取引形態の概要は以上のようになっていますが、日本の証券会社で米国株取引を行う場合には、NYSEとNASDAQを区別する必要はありません。銘柄を指定するだけで、売買が行えます。

ただ、日本の証券会社を使って米国株の取引を行う場合には、「取引手数料」に加え、「為替手数料」がかかりますので注意が必要です。

プロフィール

経済ジャーナリスト / カブライブ! 編集長

ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。「鷲尾香一」の執筆名で、マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材、執筆活動を続けている。

2023年9月から、カブライブ!編集長

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