【塚本俊太郎の金育 第3回】収入のどのくらいを貯めたらいいの?
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始めたいけど始められない投資、お金、金融商品… どうすればいい?
「収入のどのくらいを貯蓄に回したほうがいいのでしょうか」と聞かれることがあります。マネー本などでは、貯蓄に回す目安は収入の20%と言われることが多く、たとえば手取り30万円の収入の場合、6万円を貯蓄に回すという計算になりますね 。
私は、貯蓄に回すお金は何%じゃなきゃいけないということはないと思っています。費用対効果で考えた場合、特に若い人なら、貯めるよりも自己投資をして稼ぐ力を高めることが重要だと思うので、まず自分への投資をしていきましょうと話しています。
家計の見直しではじめに取り組むべきは……
人それぞれで収入の状況は違います。例えば、月に100万円稼いでる人と20万円稼いでる人とでは、お金の使い方や貯め方も変わってくると思うので、自分に合ったお金の貯め方を考えたほうがいいでしょう。
いずれにせよ、貯蓄したい、投資資金を作りたいというときに、最初にやっていただきたいのが、自分の収入と支出について把握することです。【第2回】大人のための金融教育でお話しした家計簿アプリを使いながら、自分の収入と支出を把握するところから始めて、ムダな支出が見えてきたら、その分を貯蓄とか投資に回すということにすれば、そこまで無理せずに、将来の資金に回すことができます。
家計の見直しではじめに取り組むべきは、固定費と言われています。一般的な世帯では一番かかっている費用は、家賃とか住宅ローンでしょう。狭いところに引っ越して家賃を下げるということはなかなか難しいかもしれませんが、賃貸に住んでいたら、契約更新の時期に似たような広さでもう少し安いところないか探してみるとか、子どもが独立して一部屋いらなくなったから、もう少し狭い家に引っ越すなども選択肢として一つ考えてもいいと思います。
だいぶ前にローンを借りたとしたら、借入金利は当時より今のほうが低くなっている可能性があるので、借り替えを検討してみてもいいでしょう。
ほかにも、日本人は保険にたくさん入っている人が多いので、見直して保険料を減らすとか、使っていないサブスクがあったらやめる、スマホ代や電気料金を見直してみるというのも良いと思います。それで、お金が毎月1000円、2000円でも浮いたら、貯蓄や投資に回せる資金になりますね。しかも自分の生活のクオリティを落とさずにできることなので、まずはそういうところから見直していくということで、あまりガマンや無理をせずに、投資資金を確保できるはずです。
資産が増えたり減ったりする“投資経験”を積むことが大事
投資をしたいけれど、一歩が踏み出せないという人は結構多くいます。投資をスタートすることは、意外とハードルが高くて、どの金融機関で口座を開設するのかとか、どの投資信託を買うのかを調べてからでないと行動に移せないという人もいます。だから、調べるモチベーションがあるとき、時間があるときにまずは投資の仕組みを自分でつくってスタートしてしまうことをオススメしています。
今は、スマホ一つですぐに口座開設ができるので、まずはインターネット証券で口座を作って、つみたてNISAに口座を開いて毎月100円投資信託を買う。そういう仕組みだけ、作っておきましょうとお話ししていますね。
少額で長期投資するメリットは、資産が増えたり減ったりする経験ができるという点です。長期に投資をするうえでは、必ず下落局面が来ますので、そのときに持ち続けて、ちゃんと耐える経験をしておく。その経験がないと途中で怖くなってやめてしまい、もう投資はこりごりとなってしまいます。
この経験のためだけでも100円からでいいから投資を始めて、給料が上がって、ある程度、投資をする余力が増えてきたら100円から1000円とか5000円、1万円という感じで増やしていけばいいのではないでしょうか。
購入するのは「つみたてNISA」のインデックス型投資信託がオススメです。つみたてNISAでは、購入できるものが、「長期・積立・分散投資」に合った投資信託に限定されているので、その中から選んでいれば、それほど大きな失敗はしないと思っています。
反対に、それ以外はやらなくていいと思っています。つみたてNISAは、非課税制度というメリットもありますから、これを利用しない選択はありません。
投資は「長期・積立・分散投資」を基本に行うべきだと、かねがね考えてきましたが、その背景には、以前、アメリカの大手運用会社バンガードの日本支社で働いていた経験が大きく影響しています。
バンガードは、世界で初めてインデックス投資信託という金融商品を開発した会社です。次回は、私のバンガードでの経験を交えながら、投資についての考え方を、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
(塚本俊太郎)
プロフィール
塚本俊太郎(つかもと・しゅんたろう) 金融教育家 塚本俊太郎ホームページ
1994年、慶應義塾大学総合政策学部を卒業。97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論を卒業。20年以上、外資系運用会社で勤務したのち、金融庁の金融教育担当として高校家庭科の金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在は金融教育家として、金融リテラシーや資産形成について講演活動などを行っている。
2023年3月期 Eテレ「趣味どきっ! 今日から楽しむ“金育”」講師。
YouTube「塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル」
日本金融教育推進協会理事。グリーンモンスター株式会社顧問。日本CFA協会執行理事。NewsPicks ProPicker。