まずは疑え! 急増するSNSを通じた投資話にご用心
「SNSなどを通じて投資を促す『もうけ話』に、ご注意ください!」——。
「投資や副業といった『もうけ話』をきっかけにした消費者トラブルが、年齢を問わず依然として続いている」と、消費者庁や国民生活センターが注意を呼びかけています。
SNSの広告で著名人を名乗ったり、つながりを示したりして「めざせ!1億円」「必ずもうかる」などと投資を勧誘する、著名人・有名人のなりすましとみられるる事例もあります。
消費者庁は「もうけ話をすすめられたら、まずは疑いましょう」と、警鐘を鳴らしています。
目次
2023年度の相談件数は前年比9.6倍
著名人や有名人のなりすましとみられるSNS広告による詐欺の問題で、消費者から寄せられた相談件数は2023年度下期以降、増加傾向にあります。国民生活センターに寄せられた相談件数は1629件で、前年度の約9.6倍に達しました。契約購入金額(平均)も、687万円と約3倍に増えています。
全国の消費生活センターに2022年度に寄せられた相談は170件で、契約購入金額の平均は234万円でしたが、昨年度は1629件で687万円に急増。投資名目の場合は、売買よりも契約が高額になることが多く、相談の最高額は1億7000万円でした。
こうした金融詐欺の被害は、一般にはシニアの富裕層が狙われる傾向にありますが、SNSを使った詐欺事件では、SNSに精通している若者層でも被害が現れているのが特徴です。「簡単にもうかる」といったゲーム感覚や将来への不安を煽り、お金持ちになりたいという欲求をくすぐる“心理”を突いてきます。なかには、投資のための資金を借金させて用意させるケースもあり、被害金額も決して小さくありません。
国民生活センターは「投資資金の振込先に個人名義の口座を指定された場合、それは詐欺です。振り込まないでください」と警告。詐欺被害に遭うと、それを回復することが難しいため、「安易に投資資金を振り込むことは控えましょう」と促し、「SNSでの勧誘はまず疑って」と呼びかけています。
総額1500万円を振り込んだが出金できない!
SNS広告による詐欺事件は、その手口が多様化、また犯罪が組織的でマニュアル化されるなど、年々巧妙になっています。
国民生活センターには、例えばこんな相談がありました。
有名経済評論家の投資相談に参加したところ、アシスタントを名乗る人に次々に投資を勧められ、総額1,500万円を振り込んだが出金できない
「母から相続した資産で投資をしようと考えていたところ、有名経済評論家が主催する投資相談のSNS広告が表示され、100万円が1億円になったとの体験談が掲載されていたので興味を持ち、メッセージアプリへ登録した。すると有名経済評論家のアシスタントを名乗る人からメッセージが届き、海外株が短期で値上がりすると投資話を持ちかけられた。有名経済評論家が言うことなら信用できると思い100万円を振り込んだ。すると後日『100万円では利益が少ない。追加で100万円を振り込むように』とメッセージが届き、別の銀行口座へ振り込んだ。
1週間後、『もっと利益が高い投資がある。経済評論家の先生へメッセージを送ってください』と連絡があり、別の銀行口座へ750万円と50万円を振り込んだ。さらにその2週間後、短期投資の話を持ち掛けられて250万円を2回、計500万円を新たな指定口座へ振り込んだ。
その後、運用状況で確認すると6000万円の利益があったので資金を引き出したいと申し出たところ、出金手数料900万円と、運用している海外の株式市場に税金1300万円を支払わないと出金できないと言われた」(2024年1月受付、60歳代の女性)
ほかにも、「著名人が主催する投資の勉強会」「著名人が投資のノウハウを教える」「著名人と知り合いで儲かる」などと勧誘し、投資名目でお金を振り込んだものの、「追加費用を支払わないと出金できないと言われた」「相手と連絡が取れなくなった」「違約金が必要と言われた」などといった被害が発生しています。
国民生活センターは消費者へ、こうアドバイスしています。
「SNS上で勧誘を受けた場合は、まず疑ってみるようにしましょう。不審に思ったら、すぐにご家族や警察、消費生活センターなどに相談したり、取引のある金融機関に確認したりしましょう。
連絡してしまっても、相手の説明に不信感や疑問を抱いたら、すぐに相談です。被害回復をうたった2次被害に遭う可能性もありますので、併せてご注意ください」
少しでも不安に思ったら、消費者ホットライン「188(いやや!)」(最寄りの市町村や都道府県の消費生活センターを案内する全国共通の3ケタの電話番号です)へ。
※ なお、SNSを使った著名人・有名人のなりすまし広告については、現在、“広告塔”にされた著名人や有名人、また詐欺に遭った被害者らが、SNSの運営・配信事業者らに対して、すべての詐欺広告の配信停止と損害賠償を請求する裁判を起こしています。
金融商品・サービスを取り扱う金融機関・事業者(預金取り扱い等金融機関、銀行等代理業者、外国銀行代理銀行、電子決済等代行業者等、金融サービス仲介業者等、金融用品取引業者等、保険会社等、信託会社等、金融会社=貸金業者、資金移動業者等、特定目的会社など、為替取引分析業者、無尽業者、清算・振替機関等、監査法人)には、免許や許可・登録等が必要です。
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