【塚本俊太郎の金育 第8回】iDeCoで“じぶん年金”をつくろう!
前回(【塚本俊太郎の金育 第7回】新NISAの”オススメ活用術”)は新NISAのオススメの活用法について、みてきました。今回は、新NISAとともに最近よく耳にする「iDeCo」(個人型確定拠出年金)について、制度の内容と、どのように金融機関や投資信託を選ぶとよいのか、選ぶポイントについて説明していきたいと思います。
目次
iDeCoは税金面でお得な“じぶん年金”
iDeCoは国民年金と厚生年金に上乗せをする、“じぶん年金”をつくる制度です。企業型確定拠出年金(企業型DC)と似ていて、どちらも運用商品を自分で選んで、運用の成果に応じて将来受け取れる金額が決まるという点は同じです。
大きな違いは、誰が掛け金を入れるかという点で、iDeCoは自分(個人)が掛け金を入れ、企業型DCは働いている会社のほうで掛金を入れてくれます。
iDeCoは税金の支払いを先延ばしできるというメリットがあります。まず、掛金を入れるときには、所得控除という形で税金の還付が受けられます。例えば、他に収入がある時に支払う所得税が返ってきます。
一方で、老後に年金を受け取るときに収入として認識されるので税金を支払います。ただ、受け取る際には税金が減らせる優遇制度である退職所得控除や公的年金等控除が活用でき、支払う税金を減らせるというわけです。
iDeCo公式サイトで、さまざまなシミュレーションができるので見てみてください。
他に知っておくべきことは、iDeCoはあくまでも年金制度なので、60歳まで引き出せないという制限があります。これは逆に、途中で引き出せないので、ずうっと運用が継続できるというメリットにもなりますね。
現役世代で資金に余裕がある人からは、「すでに企業年金に入っていて、加えてiDeCoにも入りたいけれど、どう活用したらいいのか」との質問がありますが、iDeCoであれば、企業年金との組み合わせられる場合があります。ただ、企業年金に加入している場合は、人によってiDeCoに入れられる掛金に制限がありますので、ご自身のケースについてiDeCo公式サイトで調べてみてください。
iDeCoはまず商品選び! 次に金融機関の順番で
次にiDeCoに加入する際の金融機関の選び方、選ぶ際のポイントですが、iDeCoはNISAと違って運用期間中に毎月手数料がかかります。実際には加入する時と受け取る時、金融機関を変更する時、そして運用時に毎月手数料がかかります。
加入時や受け取る時、金融機関の変更時の手数料はどこも同じですが、運用時の手数料は金融機関ごとに違います。運用時の手数料(積立を行う場合)は最安値がいいと思います。iDeCoナビというWEBサイトで、手数料を調べることができますので見てみてください。
最安値は1か月171円。かなりの金融機関が171円に設定しているので、まずは月額171円となっている金融機関を選ぶことでしょう。また、金融機関ごとに取り扱う投資信託が違うので、「自分が買いたい投資信託を扱っている金融機関を選ぶようにする」という2段階で選ぶことをオススメします。
iDeCoの投資信託の選び方ですが、選ぶ際のポイントは、新NISAの回(【塚本俊太郎の金育 第6回】新NISAを知る!、(【塚本俊太郎の金育 第7回】新NISAの”オススメ活用術” )でお伝えした方法と同じです。
2023年末までの「つみたてNISA」で人気があったカテゴリーが、「全世界株式」「全米株式」「S&P500」の三つですので、この三つのカテゴリーから一つ選んで、手数料がなるべく低くて、かつ純資産総額が100億円以上あるもので選ぶということです。基本は変わりません。次に、iDeCoナビの「iDeCo(イデコ)運用商品比較」で選んだ投資信託を探しましょう。投資信託の画面に取り扱いがある金融機関のリストが記載されています。ここから運用時の手数料が月171円の金融機関を選ぶといいですね。
限られた資金の中で、NISAとiDeCoをどのように併用したらいいのか、という質問も少なくありません。資金が十分にあれば、NISAから始めていただいて、iDeCoについては、所得税還付のメリットが大きければ、併用していいと思います。まずは、ご自身の働き方の場合でシミュレーションをしてみてください。NISAは自分の老後の資金だけではなく、幅広い資産形成に活用ができますし、引き出し制限もないので便利に使えそうです。NISAから始めて、iDeCoを勉強して自分にメリットがあると思ったら、iDeCoに加入するのがいいと思いますね。
次回は、積み立てた資金の取り崩し方や税制について、お伝えしようと思います。
プロフィール
塚本 俊太郎
金融教育家 塚本俊太郎ホームページ
1994年、慶應義塾大学総合政策学部を卒業。97年に米国シラキュース大学大学院国際関係論を卒業。20年以上、外資系運用会社で勤務したのち、金融庁の金融教育担当として高校家庭科の金融経済教育指導教材や小学生向け「うんこお金ドリル」の作成を担当。現在は金融教育家として、金融リテラシーや資産形成について講演活動などを行っている。
2023年3月期 Eテレ「趣味どきっ! 今日から楽しむ“金育”」講師。
YouTube「塚本俊太郎の金融リテラシーチャンネル」
日本金融教育推進協会理事。グリーンモンスター株式会社顧問。日本CFA協会執行理事。NewsPicks ProPicker。